毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
【1998年 ステイヤーズステークス】を紹介します。
長く競馬に触れていると、競馬に関連する事件がときおり発生する。
1998年に開催されたステイヤーズステークスでも事件があった。
ステイヤーズステークスとは、中山の芝3,600mを走る長距離レースで、中山の内回りを2周走る。
ただでさえ長丁場ゆえ、ペース配分がポイントとなるため騎手の力量が問われる舞台なのだ。
この年のステイヤーズステークスには9頭の馬が出走し、先頭を切ったのはここが初重賞チャレンジのキープザフィールドだった。
鞍上は2003年に引退した橋本広喜騎手だ。
はじめてのレースということで、ゆったりとした流れでレースを進めたのだが、一周目のスタンド前で橋本騎手の手が動いているではないか―――。
なんと、橋本騎手はスパートのために鞭を入れていたのだ。
観客席からどよめきが起こる中、橋本騎手は再び、三度と鞭を入れる。
位置取りや仕掛けどころなど、”1周目”ということを除けばばっちりで、キープザフィールドもそれにこたえて加速した。
1周目のゴール前を通過した後、橋本騎手はガッツポーズをとったような動きを見せたのだが、どこでコース周回誤認に気づいたのか、再びレースを続けた。
2周目の3.4コーナーまではキープザフィールドもまえで走ったのだが、さすがに1周目のスパートが響いたのか、2周目のスパートにはついていけず、最後は差し勢に飲まれて6着に敗れてしまった。
このレースは周回誤認が影響して一時話題となったのだが、橋本騎手への処分はとくになかった。
なお、2018年に当時デビューしたての山田騎手が新潟の長距離ダートで周回誤認した際は、3か月の騎乗停止処分を喰らっている。