毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
【2008年 天皇賞(秋)】を紹介します。
秋のG1のなかでも豪華メンバーが集いやすい天皇賞(秋)は典型的な芝2,000mという舞台であること、そして有馬記念やジャパンカップと間隔がほどよくて両立しやすいことから多くの有力馬が参戦する。
この有力馬の中には牝馬や3歳馬も参戦し、エリザベス女王杯や菊花賞をあえてパスして強豪がそろう天皇賞(秋)に挑む馬も少なくない。
毎年豪華メンバーが揃う天皇賞(秋)だが、そのなかでも多くの競馬ファンから評価が高いのが2007年の天皇賞(秋)だ。
この年の天皇賞(秋)はG1馬が5頭参戦し、その中でもこの年のダービー馬であるディープスカイ、前年のダービー馬である牝馬のウオッカ、そのライバルダイワスカーレットの3強対決といわれていた。
ディープスカイは神戸新聞杯を快勝し、満を持してここに挑む、ウオッカは安田記念で1年ぶりの勝利をつかんで勢い待った中、そしてダイワスカーレットは大阪杯からぶっつけもこれまで連対率100%の安定した成績でここに挑む。
どの馬が勝ってもおかしくはない―――。
例年以上に豪華メンバーが揃った天皇賞(秋)が幕を下ろした。
レースはダイワスカーレットが半年ぶりのレースを感じさせない強気の競馬でレースが進行する。
人気のウオッカとディープスカイは中団やや前方で競馬を行った。
レースが動いたのは4コーナー付近だ。
逃げるダイワスカーレットをとらえにかかるダービー馬のディープスカイ、そしてその外から先輩ダービー馬のウオッカが進出したのだ。
逃げ粘りを図るダイワスカーレットに襲い掛かる2頭のダービー馬。
とくに手ごたえがあったのはウオッカだ。
ラスト1Fでダイワスカーレットに並び、ウオッカが完全に抜け出すかと思いきや、最内からダイワスカーレットが再び脚を伸ばして差し返すのだ!
2頭の牝馬のつばぜり合いはゴールまで続き、ほとんど差がなくゴールしたのである。
タイムは1分57秒2のコースレコードで、従来の記録を0.8秒も更新した。
ディープスカイは2頭の後ろ、クビ差で3着に入選したのだが、問題はどちらの牝馬が勝利したか、その1点に注目が集まった。
長きにわたる写真判定の結果―――。
ウオッカがダイワスカーレットに先着したのである。
その差は「2cm」だった。
クラシックのころから激闘を繰り広げた2頭の牝馬は古馬になってもとんでもなく熱いレースを繰り広げたのだ。
結果的に2頭の牝馬が戦ったのはこの天皇賞(秋)が最後となる。
ダイワスカーレットはその後、この年の有馬記念を逃げて勝利し、ウオッカは翌年のジャパンカップをはじめ、G1タイトルを7つ手にして引退した。
そして、3着に入選したディープスカイも翌年以降は常に馬券に絡んでいる。
熱戦を繰り広げた3頭はその後の活躍ぶりからも競馬界で大きな貢献をもたらしたのであった。