毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
【2020年 秋華賞・菊花賞】を紹介します。
この年、歴史が動いた―――。
この年に世界中で大流行した新型コロナウイルスは競馬界にも多大な影響を及ぼした。
これまで入場料100円か200円払えばだれでも入れた競馬場が閉鎖となったのだ。
幸い、新型コロナウイルスは馬に影響はなかったので無観客開催となったのだが、静まり返った舞台で競走馬が淡々とレースする姿は、視聴的にも寂しさがあり、競馬関係者にとってもあのころの賑わいが恋しく感じる人が多かったようだ。
競馬界だけではなく日本中がコロナでトーンダウンしている中、2頭の若駒が偉業を成し遂げた。
1頭はデアリングタクトだ。
牝馬のデアリングタクトはこれまでだれもが成し遂げたことがない、【無敗の三冠牝馬】となったのだ。
最後の一冠を賭けた秋華賞では同期の後続馬を尻目に、1頭だけ抜群の手ごたえで差し切り、同期と一線を置いた競馬で勝利を収めた。
もう1頭の主役はデアリングタクトと同期の牡馬であるコントレイルだ。
こちらは無敗で皐月賞とダービーを制し、ステップレースに挑んだ神戸新聞杯も快勝したことで満を持して菊花賞に挑んだのだ。
調教師の矢作芳人師曰く、コントレイルは決してステイヤーではないと評していた。
しかしながら、無敗の三冠に王手をかけた手前、競馬界を盛り上げる意味も込めて菊花賞にコマを進めたのだ。
決してベスト舞台ではない芝3,000mの距離をコントレイルと騎乗する福永騎手は丁寧に騎乗した。
しかし、コントレイルを倒すべく台頭したのがアリストテレスだ。
終始コントレイルをマークする形でアリストテレスは競馬を行い、最後の最後も競り合う形でコントレイルにプレッシャーをかけていたのだ。
万事休すか―――。
しかし、コントレイルは違った。
三冠タイトルをかけたコントレイルは同期のほかの馬よりも重いものを背負っていた。
そして、二冠馬としてのプライドとすべてのポテンシャルを発揮し、アリストテレスの追撃を退けて勝利したのだ。
史上3頭目の無敗の三冠馬が誕生した瞬間だった。
この年はコロナの影響で大きく競馬界は静まり返ったかに思えるが、デアリングタクトとコントレイルの活躍で歴史に残る年となった。
もしも、コロナウイルスが流行していなかったら、京都競馬場には大勢のお客さんが詰めかけていたことであろう。
デアリングタクトとコントレイルは2週続けて偉業を成し遂げた。
コロナで静まり返った競馬界に一風入れた2頭に馬の今後の活躍にも注目したい。