毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
【ペイシャエリートの新潟500万下レース】を紹介します。
騎手とは、馬の能力を最大限に引き出して勝利を目指す職業だ。
馬が車だとしたら、騎手は車の運転手と言ってもいいだろう。
騎手の役割は大きくて、どんなに強い馬でも騎手が未熟であれば凡走することは少なくない。
逆に、馬のレベルが平凡だとしても騎乗する騎手が一流であれば馬の力を最大限に引き出してくれるだろう。
しかし…。
運転手ともいえる騎手がミスを犯すととんでもない事態につながることもある。
今回紹介するのは2018年の新潟で起きた事件だ。
2018年10月13日の新潟6R(500万下)は芝2,500mで開催されたレースである。
このとき人気を背負っていたのがペイシャエリートで、鞍上は当時新人騎手だった山田敬士騎手だった。
調教師からなにがなんでもハナを切れといわれた山田騎手は、もちろん先頭に行くことに固執するのだが、そのことで頭が一杯になり、なんと1周半回るにも関わらず、半周目でスパートをかけてしまったのだ。
ほかの騎手からもう一周あるぞと言われたことであわてて態勢を整えつつも、ペイシャエリートはペースが乱されてしまってそのまま最下位に沈んでしまったのである。
レース後、山田騎手は周回を間違えていたことを認め、JRAから「競馬の公正確保について業務上の注意義務に違反した者」として3か月間の騎乗停止処分が言い渡されたのだ。
新人騎手とはいえ、人気を背負っていた馬を沈ませてしまったのだから、当時は反発も強かった。
しかし、調教師とともにペイシャエリートのオーナーである北所直人氏に謝罪したことがかえって北所氏との信頼を深くし、復帰後は北所氏の所有馬で勝利を手にしている。
あれから5年が経つ。
山田騎手もすっかり新人の枠を超え、現在もターフで鞭を握りしめている。