毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
【1996年スプリンターズステークス】を紹介します。
1996年。
この年、短距離界でひとつの歴史が動いた。
6月に開催されていた高松宮杯がこれまでの芝2,000mから1,200mに距離を短縮し、さらにはG1に昇格し、今現在も開催されている高松宮記念に生まれ変わったのである。
記念すべき第一回目の高松宮記念は、三冠馬のナリタブライアンが参戦したことで注目を集めたが、ここで取り上げたいのはナリタブライアンではなく勝ち馬のフラワーパークだ。
はじめてのG1チャレンジで勝利をつかんだフラワーパークは秋の短距離王者を決めるスプリンターズステークスを目標に調整された。
史上初の春秋スプリントG1を目指して調整されたフラワーパーク。
しかし、立ちはだかったのはエイシンワシントンだ。
前走のCBC賞では先着を許した存在。
どちらもスプリントチャンピオンを狙ってここまで鍛錬を積み重ねたのだ。
レース前から火花が散るような条件下で開催された。
エイシンワシントンは逃げの一手を打つ。そして番手には春のスプリント女王であるフラワーパークがいる。
エイシンワシントンは直線に入っても全くペースを落とさなかった。
このレースのためにこれまでの競走人生を歩んだといわんばかりの鬼気迫る逃げだった。
しかし、ここを目指したのはエイシンワシントンだけではない。
フラワーパークも同じだ。
逃げるエイシンワシントンを少しずつ追い詰め、鞭をふるってさらに迫る。
そして、2頭が並んだところにゴール板が点在していた。
ほぼ同時にゴールしたため、長い写真判定が行われた。
入線してから12分後。
フラワーパークが最後の最後にエイシンワシントンを捕らえていたのだ!
その差はなんと1cm。
死闘を制したフラワーパークは中央競馬史上初の春秋スプリント王に輝いた。
競馬界に伝説を残したフラワーパークは引退後、種牡馬入りする。
産駒の1頭であるヴァンセンヌが現在種牡馬入りしているので、フラワーパークの血を引く仔がターフを駆け抜ける日も遠くはない。