毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
【2002年ニエル賞】を紹介します。
いまから20年前の2002年の話だ。
この年に開催されたニエル賞は史上稀なひどいレースだった。
ニエル賞と言ったら3歳馬のみ出走できるG2競走で日本馬もマカヒキやキズナが勝利したのち凱旋門賞に挑んだことで有名だ。
ニエル賞はのちに開催される凱旋門賞と同じ舞台で開催されるレースで、なおかつステップレースとしても有力視されるため、非常に重要なレースである。
さて、そんな伝統のある2002年のニエル賞に出走した馬はわずか3頭だった。
海外競馬は小頭数レースは当たり前のように行われるが、それでも異常に少ない。
その中でも目玉となったのがフランスダービーを制したスラマニだ。そして残る2頭はスラマニから見て明らかに格下である。
3頭立てのニエル賞が幕を開いた…と同時に観客は目を疑った。
3頭ともキャンターよりも遅いペースで走っている…というよりは歩いている。
歩きながらレースを行っているのだ!
格下2頭だけではなく、ダービー馬のスラマニすら歩いている。
どうして走ろうとしないのか、騎手は何をやっているんだ。
このレースを見ていた多くの人は疑問に思ったが、そんな気持ちを全く気にせず3頭はコースを回っている。
さすがに最後のスパートとなって各馬ペースを上げたが上がり勝負となったら格下2頭はダービー馬の足元にも及ばない。
レースといっていいのか疑問だが、結果的には1着にダービー馬のスラマニが入選した。
しかし、2,400mにおけるスラマニの勝ちタイムは3分12秒8という信じられないほどの遅いペースだった。
不良馬場で行われた2017年の菊花賞(芝3,000m)における勝ち馬キセキの時計が3分18秒9なのでスラマニのニエル賞の時計は酷すぎるのが明白だ。
勝ったスラマニだったが、検証室に向かう際、観客から大ブーイングを浴びたのはいうまでもない。
ちなみに、スラマニは次走に挑んだ凱旋門賞で2着に入線し、古馬になってからも大舞台で結果を残して最終的には6つのG1タイトルを手にして引退した。
なぜニエル賞だけこのような結果になったのか、真相は永久に分からない。