毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
【1998年 サイレンススズカの金鯱賞】を紹介します。
レースを牽引する逃げ馬の中でも大逃げで勝利を手にした馬も少なからず存在する。
特に有名なのは逃げ馬の代名詞的ポジションで知られるサイレンススズカだろう。
サイレンススズカは宝塚記念をはじめ、数多の重賞タイトルを大逃げで手にしただけではなく、時代の第一線で活躍した競走馬に影すら踏ませない競馬で勝利し、紛れもない名馬となった。
しかし、デビューから大逃げで連戦連勝したわけではなく、少なくともクラシック路線では鳴かず飛ばずの競馬が続いた。
そんなサイレンススズカが現在も活躍している武豊騎手とコンビを組んだこと身に付けた競馬スタイルがふたつある。
ひとつは道中で息を入れること。
そしてもうひとつが「短距離レース並のペースで中距離を走破する」という、机上の空論ともいうべき競馬である。
常識では考えられないような競馬だが、サイレンススズカのベストバウトともいえる1998年の金鯱賞にて、サイレンススズカは見事ものにした。
この金鯱賞では同期の菊花賞馬であるマチカネフクキタルや京都記念を制したミッドナイトベッドが参戦したが、3連勝と勢いに乗っていたサイレンススズカは1番人気に支持される。
そして、ゲートが開くと瞬く間にサイレンススズカはハナを主張。
そして開始直後からペースを引き上げたのだ。
1000m通過は58秒1。当時の中京はいまほどタフではないものの、飛ばすサイレンススズカに多くの人は期待と不安を覚えるのも無理はなかった。
しかし、ラスト5Fも余裕綽々といった感じでサイレンススズカのペースは落ちない。それどころかさらにリードを広げようとする姿に多くの人の不安は霧のように消えたのだ。
2着争いが熾烈となったはるか先方で一頭だけセーフティゾーンを保ったままゴールしてしたサイレンススズカの勝ちタイムの1.57秒8はレコード勝ちだった。
ハイペースの大逃げという、常識をあざ笑うかのような競馬を見事確立してしまったのだ。
この競馬で続く宝塚記念を制し、秋の毎日王冠では当時無敗だったグラスワンダーとエルコンドルパサーをねじ伏せてしまい、卓越した競馬スタイルでだれもが認める名馬となったのだ。