長い歴史がある競馬のなかには、主催者側のミスで大きな事件となったレースも数多くあります。
今回は、史上最恐ともいわれる、誤審で万馬券となった事件を取り上げます。
1986年の5月31日の、阪神の条件戦のレースでそれは起きた。
先頭の3頭がもつれるようにゴールし、レース直後、当時”モノクロ”の写真判定で、4-5の枠連8,590円が確定した。
ところが、その17分後、”カラー”で写真を行った結果、5-5の枠連が連対しており、枠連の払戻が23,430円の万馬券で確定したのだ。
JRAは、レース確定後から3時間ほどして誤審があったことを発表し、4-5の枠連、そして5-5の枠連の払戻をまとめて行うことになった。
そこで憤慨したのが、5-5の枠連馬券を購入した人たちだ。
レース確定直後は4-5と発表されたので、ゴミ箱に放り込まれた馬券を取り戻そうと、一部の人がゴミを漁り始めたのだ。
また、それに便乗して5-5の馬券を購入していない人が自分のものと主張、大阪の場外馬券売り場は阿鼻叫喚と化し、警察が出動するほどだった。
さらには、5-5の枠連馬券を購入した客が、JRA相手に訴訟し、大阪高裁で勝利するまでに至る。
結果的には客側の勝訴におわり、4-5、そして5-5の馬券を手にした人たちは懐を厚くした。
しかしながら、1400枚ほどの5-5馬券の払戻は行われなかったことから、意外とあきらめをつけた客が多かったのも事実だ。
結果的には外れと思った馬券を捨てずに握りしめていた人の勝ちということになる。
このような事態は滅多に行われないが、スポーツに誤審はつきもの。
大混戦となったレースでは結果が確定したあとも、すぐに馬券を手放さない方がいいのかもしれない。