毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
【2019年の有馬記念】を紹介します。
2019年の有馬記念。
この年の有馬記念の主役は前年の年度代表馬、アーモンドアイであった。
なんといっても、前年の牝馬三冠を制した後の、世界レコードを叩き出したジャパンカップの末脚は一年たっても多くの人の脳裏に焼き付いていた。
古馬になってからもG1タイトルを複数手にしているアーモンドアイは破竹の勢いで有馬記念に挑んできた。誰もがアーモンドアイが勝つと信じ、単勝1.5倍で断然1番人気に支持された。
対して、牝馬であるリスグラシューも2番人気だったが単勝オッズは6.7倍だった。
リスグラシューが初めて手にしたG1タイトルは4歳の時に挑んだエリザベス女王杯である。それまでG1レースで2着が4回あったが勝ちきることはできなかったのだ。
しかし、晩成型のハーツクライ産駒らしく、エリザベス女王杯で初めてのG1タイトルを手にすると、翌年の宝塚記念では同期のクラシックホースを蹴散らして2つ目のG1タイトルを手にしたのだ。
秋はオーストラリアのムーニーバレー競馬場で開催されたG1コックスプレートも追い込み競馬で勝ちきり、ここ有馬記念で引退が発表されたのだ。
他にも名だたるG1馬が多数そろい、グランプリホースにふさわしい有馬記念の幕が下ろされた。
引退レースで大逃げ、自分の競馬に徹するアエロリットを後目に、各馬が自分の競馬に集中する。リスグラシューは後方で、アーモンドアイも中団だ。
レースが動いたのは2週目の3~4コーナーにかけてだ。アーモンドアイがジワリと脚を伸ばすと、スタンドから歓声が沸き起こる。アーモンドアイがマクリはじめたのだ。
しかし、リスグラシューは落ち着いていた。
アーモンドアイのマクリにも動揺せず、自分の競馬に徹していたのだ。
直線で動くアーモンドアイ。前の馬を捕らえようと、自慢の末脚を伸ばしつつあったのだが、ここで誰もが予期せぬ出来事が起きる。アーモンドアイの脚が止まったのだ。
それまでの歓声が一変、悲鳴に替わるなか、台頭したのがリスグラシューだ。
直線で末脚をいかんなく発揮したリスグラシューはアーモンドアイをあっさり交わし、上がり3Fを34秒7の末脚でゴール板を駆け抜けた。2着のサートゥルナーリアに5馬身付けて、有終の美を飾ったのだ。
牝馬としては史上初のグランプリを成し遂げたリスグラシュー。
3歳時も素晴らしいパフォーマンスを発揮していたものの、G1タイトルには届かなかった。
しかし、負けを重ねながらもしっかりと力をつけて、ついにはグランプリ連覇を成し遂げたのだ。
リスグラシューはまさに、遅咲きの百合ともいえただろう。
引退後はモーリスと交配し、今年の2月に産駒が生まれた。
生まれた仔もお母さんのような成長性に期待したい。