毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
【2020年のジャパンカップ】を紹介します。
2020年のジャパンカップ。それは、ゲートを開く前から伝説が確約されていた。
最初に、史上初の無敗の三冠牝馬となったデアリングタクトが参戦を表明すると、親子での無敗の三冠馬を成し遂げたコントレイルもジャパンカップを選択する。
そして、コントレイルを管理する矢作芳人氏がアーモンドアイの参戦を促すようなコメントを残したところ、アーモンドアイもジャパンカップの参戦、それもラストランを正式に発表したのだ。
3頭の三冠馬。それだけでも豪華だが、それ以外の面子を見ても、G1前線で結果を残しているカレンブーケドールやキセキ、グローリーヴェイズが参戦し、空前絶後のメンバーが揃ったのだ。
三冠馬同士の激突がついに幕を開けた。
最初にゲートを飛び出したのはキセキだ。アーモンドアイがワールドレコードを叩き出した2年前のジャパンカップでもハナを切ったが、今回も2年前を彷彿させるかのように前を行く。
そのあとに各馬が続く……。アーモンドアイは先行、コントレイルとデアリングタクトは中団で競馬を行った。
大逃げを打ったキセキの1000m通過タイムは57.9秒と、かなりのハイペースだ。キセキもアーモンドアイに勝つための競馬をしているのだ。
キセキは後続を突き放したまま直線に入る。キセキから見て三冠馬3頭ははるか後方だが、三冠馬もただ黙っていない。
後方で競馬をしていたコントレイルとデアリングタクトがムチに応えて加速するが、もっとも手ごたえがあったのは、アーモンドアイだった。
坂の頂上、残り300m付近でルメール騎手がムチを入れると、それにこたえるかのようにグングン加速する。
グローリーヴェイズを、キセキをかわして先頭に立つと、後続をさらに突き放し始めたのだ。
コントレイルとデアリングタクトも先輩三冠馬を捕らえようとするが……アーモンドアイは二頭の無敗の三冠馬を軽く払いのけ、先頭でゴールした。
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このレースを最後に引退したアーモンドアイ。
コントレイルとデアリングタクトはこのレースではじめて負けを知ったが、それでも2.3着に入選していて無敗の三冠馬の威光は証明できただろう。
また、アーモンドアイは史上初のG1タイトル9つを手にした馬となり、また、獲得賞金額19億1526万3900円は歴代獲得賞金ランキングでも堂々のナンバーワンとなったのだ。
数々の伝説を手にし、最後は三冠馬の激突をも制して引退したアーモンドアイ。
間違いなく2010年代後期の競馬を盛り上げた第一人者であろう。