毎週月曜日はレジェンドレース回顧録!
伝説的なレースを紹介するこのコンテンツ。
今回は名馬ジャスタウェイが6馬身差で圧勝した伝説のレース【2014年ドバイDF】を紹介します。
ジャスタウェイほど、爆発的な進化をした馬はいない。
若い頃から活躍しているジャスタウェイだが、古馬になってからのパフォーマンスはまさに怪物。例えるなら花火のように華やかさと派手さを兼ね備えた馬だった。
大器晩成のイメージとは違い、新馬戦を5馬身差で勝利し新潟2歳Sでは2着。翌年にアーリントンカップを勝ったものの、あくまでも『脇役』というポジションで、GⅠの舞台で輝くことは出来なかった。
古馬になっても変わらず、夏には重賞を3戦連続で2着と『名脇役』の地位を確立。それでも確実に上がり最速を叩き出すレース内容を見ると、爆発の前兆のようなものがあったのかもしれない。
そうしてジェンティルドンナ、エイシンフラッシュなどの豪華メンバーで迎えた2013年秋の天皇賞。最後の直線を別次元の動きで抜け出したジャスタウェイは4馬身差の圧勝でファンの度肝を抜いた。
『こんなに強かったのか』『とんでもない成長力』という声が挙がる一方で、ハイペースになったレース内容を指摘し『展開が向いた』『先行した馬が不利だった』とジャスタウェイの実力を疑問視する声も少なくなかった。次走の中山記念で2番人気(1着)と信用されていなかったことからも、ジャスタウェイは『脇役』のイメージを抜け出せていなかったことが分かる。
5歳になったジャスタウェイの最初の目標になったレースがドバイDF。日本からは快速馬トウケイヘイロー、皐月賞馬ロゴタイプが参戦。さらに南アフリカから全勝馬ウェルキンゲトリクス、米GⅠ2勝馬ダンクなど超豪華なメンバーが揃う。
ジャスタウェイの実力を証明するのに、申し分ないレースとなった。
スタートが切られると、手応えが悪く後方から競馬を進めることになる。鞍上の福永騎手は動かない。日本のファンは、逃げるトウケイヘイローを祈りながら見つめている。
最後の直線に入ったときファンの目に飛び込んできたのは、外から猛進してくる、怪物だった。
――ジャスタウェイだ。
気付いたときには、ジャスタウェイは先頭に踊り出ていた。喜ぶ隙を与えることなく、グングンと差を拡げていく。まさに笑ってしまうほどの圧勝劇。その映像のインパクトは、コースレコードを2秒以上更新したという事実をおまけ扱いしてしまうほどだ。
さらに衝撃は続く。
ジャスタウェイはワールド・サラブレッド・ランキングから130ポンドの評価を受け、『日本馬初の単独世界一』の栄誉に輝いた。
それに異議を唱える者はいなかった。ジャスタウェイの実力を疑う者はいなかった。
たった一つのレースで、全てを過去にし、力を世界に知らしめた。記憶にも記録にも残り続ける、名レースである。